News

世の中のボーダレスなアート最新情報をアートラボメンバーがお届けします。

Blog

ギャラリー【OVER THE BORDER】スペシャリストと巡る旅【Cultra】で新しいアートを探るアートラボのBlogです 

石川直樹 写真展「AMA DABLAM/GLACIER」@OVER THE BORDER

みなさんこんにちは。
ArtLABが運営するOVER THE BORDERギャラリーのお知らせです。
9月6日(土)から、写真家・石川直樹さんの展覧会を開催致します。
 

 

 

展覧会概要
石川直樹 個展「AMA DABLAM/GLACIER」
2014年9月6日(土)-10月12日(日)
12:00-20:00/月曜休廊
オープニングレセプション:9月6日(土)19:00-21:00
 
アマダブラム(標高6812m)はネパール語で「母の首飾り」を意味し、エベレストの近く、クンブー地方の真ん中にそびえ立っています。その美しい山容とは裏腹に、登頂するためには一定の技術を要し、なかでもぼくが選んだ北稜ルートはとりわけ難しい登攀を要求され、登頂には至りませんでした。本展では、その2013年秋の遠征と、翌2014年春のマカルー遠征で撮影した写真を合わせ、初公開となる動画作品も展示します。いつか再挑戦したい、そんな思いを込めた、小さな写真展です。 
石川直樹
 

 
皆さま是非お越しください。
 

Share on Facebook

石川直樹さんトークイベント@デサントショップ東京


7月29日、写真集『MANASLU』発売日を記念して、石川さんのトークイベント『カメラを持って、旅に出よう。』が行われました。当日のトークの様子をレポートいたします。
 
今回出版された『Manaslu』は『Lhotse』『Qomolangma』に続くヒマラヤシリーズ、全5部作の3冊目です。
石川さんの写真集はいつも作品が表紙になっていることが多いですが、今回は単色カラーとテキストのみの表紙。
実はこれ、チベットの伝統である5色の祈祷旗、タルチョのカラーを模しているそうです。
 

左奥から、『チョモランマ』『ローツェ』『マナスル』続く2冊も楽しみです
 

マナスルはヒマラヤ山脈に属するネパールの山。地図上ではそれほど遠く感じませんが、山は8000メートル以上あり世界で8番目に高い山です。(8000メートル以上の山は世界に14峰)
 
石川さんは、「マナスルに登頂したことでヒマラヤが面白くなった。こういう感覚が喚起されるのがヒマラヤなんだ」と語ります。「マナスルに登って帰ってきた時に自分の身体を使い果たして、からっぽになった感覚がある。それは水平の旅ではなく、垂直の旅じゃないと得られない。しかも、高峰でないと得られない感覚、それが僕にとって面白かった。」と、石川さんならではの実感を込めて語られているのが印象的でした。
 
また、石川さん自身が高峰に登る、という極限の状態にあったにも関わらず、山で暮らす現地の人々や、同行する「シェルパ」に目を向けたエピソードを多く紹介されていたことに驚きました。
「シェルパ」は、ネパールの少数民族の名称であるとともに、高地に順応した身体と高い登山技術を持ち、高山で登山者の案内とサポート役として働く人々を指します。

マニ車(チベット仏教の仏具)と子供たちの写真。マナスルはエベレスト周辺とは異なり、空気が湿っていて緑が多いのでまた違った感じがあります。と語る石川さん
 
登山者にとっては命をかけた高峰での冒険のクライマックス、8000メートルの頂上を日常のように過ごす彼らに高い関心を寄せる姿に、「僕達は辺境と呼ぶけど、辺境は存在しないのかもしれない。人の数だけ中心がある。」という、カナダ大使館でお話されていた言葉を思い出しました。
日本で暮らす私達が想像も絶するような高峰の空の下も、世界の中心のひとつなんですね。
 
石川さんのお話と写真を通して、見たことの無い世界を感じる貴重なイベントでした。
 

 
写真集「Manaslu」
著者:石川直樹
デザイン:田中貴志
出版: SLANT http://www.slant.jp/
価格:2,800円+税
ISBN:978-4-907487-05-8
仕様:H 280mm×W 300mm/48ページ/ハードカバー
 
発売中
 
 
 
 
 
 

 
 

Share on Facebook

名和晃平さんインタビュー


こんにちは、ArtLABです。
今回ArtLABではCultraでもお世話になっている名和晃平さんにインタビューをさせて頂きました。
名和さんは現在、こちらのブログでもレポートをお伝えした「ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて」(東京都現代美術館)に出展されています。
出展中の作品、「Direction」、「Moment」、「Ether」シリーズについてたっぷりお話を伺ってきました。
作品をもう鑑賞された方も、これからという方も、より作品を楽しむためにぜひご覧になってみて下さいね。
 

 
名和 晃平 Kohei NAWA
1975年大阪府生まれ。
2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士(後期)課程彫刻専攻修了。京都造形芸術大学准教授、2009年京都伏見区に立ち上げたクリエイティブプラットフォーム「SANDWICH」ディレクター。
2011年、東京都現代美術館で個展「名和晃平ーシンセシス」開催。その後も2013年の瀬戸内国際芸術祭、あいちトリエンナーレなど、数々の国際展にてサイトスペシフィックな彫刻作品を発表する。同年、韓国チョナン市に大規模な屋外彫刻 “Manifold” を設置。ビーズ、プリズム、発泡ポリウレタン、シリコーンオイルなど様々な素材とテクノロジーを駆使し、彫刻の新たな可能性を拡げている。
現在、京都を拠点に活動。
 

 
「ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて」に出展中の作品について
聞き手ArtLAB:ア
名和晃平さん:名
 
ア:東京都現代美術館で開催中の「宇宙×芸術」展を拝見しました。宇宙に関連した展示の中でも、名和さんの作品の空間はSFのセットの中に居るような神々しさ、無重力感が印象的でしたが、展示作品はどのようなコンセプトでお作りになられたのかお聞かせ下さい。

名:「Direction」、「Moment」、「Ether」シリーズは[宇宙×芸術]展を意図して制作したわけではありません。ただ、普段から作っている作品で十分宇宙に関するテーマに通じていると思い、この展示に参加しました。宇宙空間で作品を作る、という発想ではなく、今自分たちがいる、この地上が宇宙の一部だと考えて制作しています。宇宙の中の、ひとつの重力圏にたまたま我々がいて、地上にある物質を使ってコミュニケーションを図っているという風にラディカルに捉えていくと、もう一度宇宙という視点に立ち返って自分たちが居る場所や、リアリティを見つめ直せるのではないかと考えています。
自分が学生時代に習っていた先生が野村仁さんという、天体を彫刻のモチーフにして、「コズミックセンシティビリティ(宇宙感性)」というテーマのもと活動をされている方だったので、その影響はあると思います。宇宙の中に感性を持った存在がいる、それが地球上では生命として発達している。そういった捉え方で自分たちがこの地球上で生きているという事自体を彫刻の表現で捉え直せないかなと思い、制作に取り組んでいます。
 
ア:「Direction」はメイキング映像も展示されていましたが、線の描かれる過程の美しさに驚きました。
名:すごくシンプルな方法です。インクの粘度や成分とキャンバスの関係を見極めて、ベストな相性を見つければ、定規やマスキングを使わなくてもあれだけの直線が描けます。あれは、今僕達がいる空間の中に既にある線だとも言えます。物体が地面に向かって引き寄せられる現象、つまり、常に自分たちの身体が感じ続けている力が視覚的に表れた線ですよね。
 
ア:「Moment」も、円を描く、揺れによって出来ている線だと思いますが、メイキング映像を見ると、キャンバスを移動させている様子も見えました。手でコントロールして描いている部分も大きいのでしょうか?
名:自然に委ねるのと、それをコントロールしてフィジカルな感覚を入れるのと、半々ぐらいにしたいなと思っています。
まず、描くための装置を作り、その動かし方や線の出し方をチューニングするのですが、それさえ決まれば、画面ごとに大きなバラつきは出ません。展示している「Moment」より、今はもっと大きいサイズを描ける装置ができています。ずーっと見ていると目が回りますけど(笑)面白いですよ。
 
ア:映像で見るだけでも、自然で単純な動きのはずなのですが、ずっと見ていたくなる魅力があります。
名:平面にアウトプットしているのですが、どこか彫刻的な感覚が強いからでしょうか。彫刻というのはこの世界で、今自分がいる、今、感じているリアリティをそのまま形にするということなので、平面でも立体でも映像でも、彫刻的な感覚からどうやって作品化するか、という点を常に考えて作っています。物質的な条件やそのものの振る舞い、この空間に起こっていること、身体が今居る環境にあって受けている色々な影響や力を、可視化するのです。そのために、今この空間から現象を抽出し作り出すための方法は沢山あるのではないかと思っています。それは光かもしれないし温度かもしれないし重力かもしれない。
 
ア:普通の空間から要素を抽出するというのは、発想を大きく変えないと難しそうですが、作品のアイデアはどんな時に浮かびますか?
名:実験を繰り返していると、自然と次はもっとこういう風に、と展開していきます。
ア:ということは、「Moment」と「Direction」も関連して制作されたのでしょうか?
名:「Moment」は、3、4年前に制作した「LINE DRAWING」というシリーズからのアップデートが元になっています。そこに「Direction」の制作方法も影響して、最終的に「Moment」という絵画が完成しました。
「Direction」もまた、「LINE DRAWING」における様々な線の表現が派生して生まれたシリーズです。
 

東京都現代美術館[宇宙×芸術]展で展示中の「Moment」、「Direction」シリーズ
 

東京都現代美術館[宇宙×芸術]展で展示中の「Ether」、「Direction」シリーズ
 
ア:「Ether」のシリーズはどういったアイデアで作られているのでしょうか?
名:「Ether」は、実は、1998年のロンドン留学中に一度作ったことがあったんです。当時作った物は、外側を樹脂で覆ってしまって、水分が中に閉じ込められた彫刻でした。僕たちの身体は大部分が水分で占められているので、「水=命をもった存在の根源的な要素」であると考え、そのような彫刻を作りました。
「Ether」(エーテル)という言葉自体は、物理学や自然科学の分野が今ほど解き明かされていない時代に使われていた概念です。当時は、宇宙空間が真空だという議論と「感覚の媒質」になるようなもので満たされているという議論があって、その「感覚の媒質」をエーテルと名づけて扱っていました。今となっては半分オカルトのような話ですが、魂のやりとりや交信みたいなものも、このエーテルを介してなされているのではないかという議論もあり、科学的ではないかもしれないけど、アーティストの感性や感覚、コミュニケーションも、エーテルという概念に比喩的には近い部分があるなと思っていました。
 

「犬島「家プロジェクト」F邸 《Biota(Fauna/Flora)》」 撮影:表恒匡|SANDWICH
 
名:「Ether」が今の形になったのは、2013年に参加した犬島の「家プロジェクト」でした。F邸内にある坪庭に、植物が生まれてくる地面から鉱物のエネルギーが立ち上がるという設定で作りました。ちょうど「Direction」も精力的に描いていた時期で、キャンバスの上を流れていくインクの形がモチーフとなりました。粘度が高いインクが、床に落ちる時にゆっくりと広がる様子を5段階のストップモーションで3Dにシュミレーションし、上下反転させて組み合わせています。
上に上がる力と下に落ちる力とが常に同時に働く形になって、重力としてはプラスマイナスゼロになります。それで、見た時に無重力を感じるんです。
 
ア:確かに、「Ether」がいっぱい並んでいるところをみると、無重力空間に育った植物が浮いているような印象を受けます。
名:そうですね、植物は、全細胞が重力を感じていますよね。僕達もですけど、全細胞がセンサーをもっています。地面の下から上に伸びて行こうとし、光に向かおうとし、根は水分を探そうとしますよね。森などを見ていても、重力とは逆の方向にむかっています。実際の植物は無重力ではないけれど、重力に対して自由になろうとしているようにも見える。そういう上昇しようとする力のような、意志みたいなものが、作品の裏側にも感じられたらいいなと思っています。
ア:今後のご活躍も楽しみにしています。
 

 
以上、名和晃平さんのインタビューでした。
いかがだったでしょうか?静かに熱く語る名和さんの魅力が少しでも伝わったでしょうか。
暮らしている普通の空間を「宇宙の一部」と捉えて物質に向き合われているからこそ、普段は感じられない感覚になれる空間を作ることができるのだなと、感心しきりの時間を過ごさせて頂きました。
東京都現代美術館での「ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて」の会期は8月31日(日)までです。
 
東京都現代美術館「ミッション[宇宙×芸術]―コスモロジーを超えて」
 
 

Share on Facebook

宮島達男さん×山出淳也さんによるトークイベント@OVER THE BORDER



7月20日(日)13時半から、国東半島芸術祭Tokyo Preview展の会場でトークイベントを行いました。
ゲストにお迎えしたのは宮島達男さんと山出淳也さんのお二人です。
 
参加者の皆様のお手元には、国東半島芸術祭のプレスリリースをお配りしました。
現在公開されている情報よりも少し踏み込んだ内容をトーク前にじっくり読まれている方もちらほら。
 
トークイベントは国東半島芸術祭総合ディレクターである山出淳也さんによる、芸術祭の説明から始まりました。
「国東」という土地自体が持っている力があり、そこでしか鑑賞しえない作品を見に来てほしいと語る山出さん。
近年地方芸術祭は数が増えてきていますが、国東半島芸術祭は何と言っても「チャラくない」ところが特徴と
何度も強調されていたのが印象的でした。
羽田空港から直行便で2時間足らずという手軽さではありますが、着いてからがすごい!とのこと。
絶対にビーチサンダルでぷらぷらっと行くことのできない場所に、
必死になって辿り着いた時にだけ出会える経験があるという言葉には説得力があります。
 

 
国東半島芸術祭にアーティストとして参加されている宮島達男さんは、芸術祭に参加するきっかけのお話からされていました。
色々な芸術祭がある中で、どこにも基本的に参加するつもりは無かったという宮島さん。
それでも、山出さんのおっしゃる「半端な気合では見に来れない芸術祭」という魅力と、
作品を設営するための場所を現地のスタッフが凄まじい努力で探しだしてくれた熱意に惹かれて
参加を決めたというエピソードに、現地で宮島さんの作品を見てみたい!と思いが膨らみます。
 

これまでの国内外で展示された作品の説明を、映像や写真を交えて拝見することができ、
とても贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
地域密着で行う芸術祭ならではの、地元の人との交流の楽しさや作品設置に至るまでの苦労、色々なお話をして下さいました。
国東の地元ならではのお祭りや、環境、食文化の話になると宮島さんと山出さんの仲の良さの伺える掛け合いで
会場は笑いに包まれ、とても楽しいイベントになりました。
 
最後に質問タイムを設けたのですが、参加者の皆様、本当にたくさんの質問を挙手して下さって、驚きました。
更には、参加して下さった方の大分県出身者率の高さにびっくりさせられたり、
みなさん真剣そのもので作品や芸術祭のコンセプトに踏み込んだ質問をされてメモを取られたり、
有意義な場を作ることが出来たのではないかとArtLAB一同嬉しく思っています。
 
何と言っても、このトークイベントが終わって思うことは、
「国東半島芸術祭に行きたい!」ということだったのではないでしょうか?
生半可な気合ではなく、真剣そのもので芸術祭に出かけて、そこにしか無い作品に出会いたい。
そう強く思わされる場を作って下さった宮島達男さん、山出淳也さん、本当にありがとうございました。
 
国東半島芸術祭は、今年10月4日から開催です。
 
 

 
宮島達男さんの「成仏プロジェクト」作品制作ワークショップ参加者募集中。詳細は国東半島芸術祭のホームページにて。
国東半島芸術祭:kunisaki.asia/
 

 

Share on Facebook

宮島達男「Counter Painting 2014」@CAPSULE

みなさんこんにちは。Art labです。
7月20日(日)にはOVER THE BORDERにて、国東半島芸術祭のプロモーションの一環として、宮島達男さんと山出淳也さんのトークイベントを行いましたが、その宮島さんが現在CAPSULE Galleryにて、面白い試みを行っていると聞きつけ、伺ってきました。宮島さんに直接お話も伺いましたので、既に見に行かれたという方も、是非ご覧ください。
 
 

 
Profile
1988年、国際美術展ヴェネチア・ビエンナーレの若手作家部門アペルト’88で注目を浴びて以来、日本を代表する現代美術作家の一人として国内外で精力的な活動を続けています。宮島さんの作品は、「それは変わりつづける」、「それはあらゆるものと関係を結ぶ」、「それは永遠に続く」という3つのコンセプトに基づいたデジタルカウンター(L.E.D.)に代表され、1〜9までの数字が異なる速度で明滅し0を示さないことによって、生まれては死んでいく生命を象徴しています。
また1996年より、長崎で被爆した柿の木の種から育てた苗木を世界各国に現地の子供達とともに植樹していく「時の蘇生」柿の木プロジェク

も推進しています。
official web site

 



展覧会レポート

宮島さんと言えば、瞬時に思い浮かぶのはデジタルカウンターですが、展示会場には、1面に1点ずつ平面作品が3点置かれていました。今回の展覧会は、アート作品のオリジナル性や作家の個人性を問う実験的なもの、とのこと。3点とも、存命中の作家とコラボレーションしており、それぞれの作家が制作した平面作品の上に、宮島さんが数字(時間)を置いています。ところが単なるコラボレーションとは制作過程が異なり、他の作家が先に描き上げた作品を買い取った後、数字を置いていったのだそうです。誰の作品というべきなのか、一風変わったコラボレーションでつくられた作品を見ることができました。
 
(c)Tatsuo Miyajima
お1人目は柴田健治さんとのコラボレーション。柴田さんの作品は、微妙な色彩の違いのみで画面構成されていて、表面は平滑でありながらも、見ている者に奥行きを感じさせるのが特徴です。その柴田さんの油彩の上に、4種類の異なる手法によって宮島さんが数字を乗せています。それぞれの手法は美術史上で重要な手法を用いており、ひとつの画面で、美術の歴史や時間を凝縮しています。左上から時計回りに、”5″はシルクスクリーン、”2″はドリッピング、”9″は点描、”3″はデカルコマニー、とのことです。
デジタルカウンターと違い動きはないのですが、アンディ・ウォーホルからインスパイアされ、シルクスクリーンで表現した正面左上の”5″が、規則的な輪郭線からはみだしていることによって、鑑賞者の心臓の位置とリンクし、生命や動こうとする意思を感じます。

 
(c)Tatsuo Miyajima(c)Tatsuo Miyajima
お二人目は嵯峨篤さん。ウレタン塗装を磨きこんで鏡面のように光沢を放つ作品で知られているアーティストです。宮島さんはそこに電動ドリルで表面を削りカウントダウンしています。表面の平滑さと対比するような荒削りの数字は、「生」と「死」の対比のように表しているとのことです。宮島さんの数字と言えばデジタルでシステマチックな印象で、このように手書きの数字でのカウントダウンが見られるのは数少ない貴重な機会なのではないでしょうか。嵯峨さんが、完成された美しさを表現していることにより、あえて荒削りなカウントダウンを表現するという、コラボレーションならではの宮島さんが見られます。
荒削りなカウントダウンは生々しく人の息吹を感じるはずなのですが、美しい真っ白さによるのでしょうか、死後の世界で輪廻転生を待っている時間のように感じました。
 
(c)Tatsuo Miyajima
三人目は富田直樹さん。これまでのお二人とは違い、荒々しいテクスチャーに特徴のある富田さんの作品。その上に、宮島さんはマスキングし、スプレーで数字をあらわしています。富田さんの荒々しさに対して、表層的なスプレーという素材で対比させ空間を差異化しているそうです。グラデーションやスプレーの軽さ、また荒々しいテクスチャーも相まって、カウントダウンの動きを感じます。
柴田さんとのコラボレーションもそうですが、こちらも、使用した数字に意図はないそうです。デジタルカウンターの作品制作の際にも使用している、数字をランダムに表示する機械で出てきた数字を描いているとのことです。
 
 
本展は、オリジナリティーへの批評や、所有制への批評など、さまざまな点からこれまでのアートヒストリーへの懐疑的な試みとなっており大変興味深いものでしたした。誰の作品なのか、誰から買うのか、そもそも買えるのか、など、作品を見るだけではなく、作品の在り方にも注目して見たい展覧会です。
宮島さんに今後の予定をお伺いすると、宮島さん自身がこの人とならできる、と思うことと、コラボレーションする作家が宮島さんとならやってもいい、と思うこと、双方の合意が必要なので、いまのところ予定はないけれど、機会があればまた行う可能性はある、とのことでした。第二弾、期待して待ちたいと思います!
 

 
また、CAPSULE Gallery隣接のカフェSUNDAYでは、なんと各々の作品を見ることもできました。せっかくなので、こちらもご紹介させて頂きます。皆さんこちらもお見逃しなく。
 
Cafe展示レポート

 
(c)Tatsuo Miyajima
まずはこれぞ宮島さん、と言うべきであるデジタルカウンターを使用した作品。こちらは常設で、普段から設置されているとのことです。宮島さんのデジタルカウンターを見ているといつも不思議な感覚に陥ります。無限と刹那という対極が同時に存在し時を刻みながらも、時間という概念から解き放たれるような気分になります。せっかく椅子もあることですし、しばらく眺めてみてはいかがでしょうか。
 
(c)Kenji Shibata(c)Kenji Shibata
こちらは柴田さんの作品。周囲の空間に溶け込みながらも、空間に緊張感を与える存在感をもっています。微妙な色彩で構成される空間の奥行きとともに、作品としての奥深さを楽しんでみて下さい。
 
(c)Atsushi Saga(c)Atsushi Saga
嵯峨さんの作品。黒い作品では更に光沢が増し、周囲の景色を写し出します。ある角度から見ると、宮島さんのデジタルカウンターも写し出されていました。嵯峨さんの作品ならではの現象というべきでしょうか。ある意味ここでもコラボレーションが生まれています。
 
(c)Naoki Tomita(c)Naoki Tomita
最後に富田さんの作品です。正面から見るときれいに描かれた人物像のように見えますが、少し横にずれると荒々しいテクスチャーで表現されているのが分かります。角度を変えることによって見えてくる、人間の多面性を表しているようにも思えてきます。
 

 
Cafeスペースでは、使用されている什器がアンティークであったり、随所にオーナーのこだわりを感じる空間でした。CAPSULE Galleryの展覧会ごとに、カフェの展示作品も変わるとのこと。みなさん、CAPSULE Galleyで展覧会を見た後は、ぜひSUNDAY Cafeにも訪れて、ゆったりとした時間を楽しんでみて下さい。
 
 

 
 
Information
 
CAPSULE Gallery
「Counter Painting 2014」
[会期] 2014年7月5日(土)~8月3日(日)※水曜日定休
[時間] 12:00~19:00
[会場] CAPSULE Gallery
   東京都世田谷区池尻2-7-12
[アクセス] 田園都市線池尻大橋駅南口より徒歩8分/世田谷線三軒茶屋駅北口より徒歩10分
[観覧料] 無料 
 
 
 

Share on Facebook

PAGE TOP